B’z / LOVE PHANTOM | ビーズ / ラブ・ファントムの歌詞和訳
You must know what I am.
ソングライター: Takahiro Matsumoto / Koushi Inaba
I must tell you what I’ve been loving.
I’m nothing, lifeless, soulless.
Cause I’m “LOVE PHANTOM”.
(あなたは私が何者か知っているはず
私が何を愛してきたかを伝えなければならない
私は存在しない、命も魂もない
なぜなら私は「愛の亡霊」だから…)
いらない何も 捨ててしまおう
ソングライター: Takahiro Matsumoto / Koushi Inaba
君を探し彷徨う MY SOUL
STOP THE TIME, SHOUT IT OUT
我慢できない
僕を全部あげよう
せわしい街のカンジがいやだよ
君はいないから
夢に向かい交差点を渡る
「途中の人」はいいね
ふたりでひとつになれちゃうことを
気持ちいいと思ううちに
少しのズレも許せない
せこい人間になってたよ
君がいないと生きられない
熱い抱擁なしじゃ意味がない
ねえ、2人でひとつでしょ Yin & yan
君が僕を支えてくれる
君が僕を自由にしてくれる
月の光がそうするように
君の背中にすべり落ちよう
そして私はつぶされる
丁度 風のない海のように
退屈な日々だった
思えば花も色褪せていたよ
君に会うまでは
濡れる体 溶けてしまうほど
昼も夜も離れずに
過ごした時は ホントなの
君は今何おもう
腹の底から 君の名前を
叫んでとびだした IT’S MY SOUL
カラのカラダが とぼとぼと
はしゃぐ街を歩く
欲しい気持ちが 成長しすぎて
愛することを忘れて
万能の君の幻を
僕の中に作ってた
いらない何も 捨ててしまおう
君を探し彷徨う MY SOUL
STOP THE TIME, SHOUT IT OUT
我慢できない
僕を全部あげよう
幻をいつも愛してる
何もわからずに
Can you hear the sound
It’s my soul
I will give you
Anything, anything you want……
(この音が聞こえるか?
それは私の魂だ。
私はあなたに捧げる
あなたの望むものすべてを……)
「LOVE PHANTOM」の凄さとは?
この曲を聴くたびに、僕は「ああ、やっぱり俺はB’zが好きだな。そしてLOVE PHANTOM が好きだな」と思う。
当時小学生だった僕がB’zに夢中になったのもこの曲がきっかけだ。小学校6年生だった兄がどこからか持ってきた「Pleasure」の1曲目。瞬間的に
「この曲はなんだ!」
「これを演奏しているのは誰だ!?」
と思った。父親と兄貴と3人で旅行中、僕は車の助手席でこの曲をリピートで一日中流し続けた。歌詞を覚えるためにだ。
大人になった今、しっかりと聞きこんでみても、その感動がみじんも劣化していないことがわかる。とてもシンプルなのにドラマティックな展開があり、抒情的で最高に「おいしい」サビのボーカルラインと力強いボーカルの声量。十分にためてから一気に解き放たれる速弾きギターソロ。とにかく「かっこいい」の一言に尽きる。
邦楽で最もクールでイケてる曲は何か?と聞かれたら、私は迷わず「B’zのLOVE PHANTOM」だと答えるだろう。言うまでもなくB’zの曲はどれも優れているし、総曲数に占める名曲数を示す「打率」もキャリア30年とは思えないほどの高さである。しかし、LOVE PHANTOMがなぜそれほど一際優れているのか?
理由はいろいろあるのだろうけど、LOVE PHANTOMが「当時の彼らにしかできない曲」であったから、というのが私の答えだ。
LOVE PHANTOMは日本を代表する、そしてHR/HMを代表する名曲中の名曲だ(と私は信じている)が、他の名曲と決定的に異なるものがある。それは「B’zじゃなければできない」曲であること。
たぶん名曲には二種類あって(二種類に分類するならという話だが)、それは「誰がやっても名曲になるもの」と「特定のメンバーでないと名曲にならないもの」だ。一般的に名曲といわれる曲をあげてみよう。
- 川の流れのように/美空ひばり
- 時の流れに身を任せ/テレサテン
- ホテル・カリフォルニア/イーグルス
- LET IT BE / ビートルズ
これらの曲が、誰がやっても名曲になり得ることは想像に容易い。なんならイーグルスが川の流れのようにを歌っても、テレサテンがLET IT BEをやってもいい。名曲の多くは曲自体が大きな力を持っていて、誰がやってもその力は引き出される。
しかしある種の名曲というのは、特定の誰か、特定のメンバーでないと名曲となり得ない。曲がアーティストに依存している状態で、依存度が高ければ高いほどそれが曲の大きな魅力になっているような曲。
「彼らでなければ、できない曲」
そこには曲自体のパワーだけではたどり着けない、曲とアーティストのシナジーによってのみ生まれる「圧倒的スペシャルティー」がある。
LOVE PHANTOMはB’zにしかできない。しかも当時の稲葉と松本にしかできない。(さんを付けないことで不快になられる方がいたらごめんなさい)
稲葉の若さ、声量、勢い、松本の代名詞ともいえるトーンとレガートスライドのギターソロ。当時の彼らの勢いがすべて完璧な形でハマって、奇跡のような名曲に仕上がったのだ。だからスタジオバージョンが至高であり、曲のアーティストへの依存度が非常に高い。
僕はギターを弾くので、個人的には「ギターリフ」があるバンドサウンドの曲が好きだ。
Oh Girl!、孤独のRunaway、The Gambler、MOVE、ZERO、Liar Liar、Fireball、Real thing shakes、Juice、ギリギリChop、さよなら傷だらけの日々よ等々。
それでもギターリフがなく、バンドサウンドでもないLOVE PHANTOMが私の中でB’zナンバーワンであり続けるのは、LOVE PHANTOMが「B’zにしかできない曲」だからだ。上に上げた曲もすべて名曲ではあるが、たぶん誰がやっても名曲だし、誰かにやらせることを期待してしまうような名曲でもある。
「ギリギリChopをMr.Bigにやらせたら、ポールはどんなソロを入れるだろう? Fireballをスティービーレイヴォーンがカバーしたらどんなブルースになるだろう?」
曲とアーティストにも当然愛称というものがあって、自分で生み出したものがどれも自分と良い相性であるとは限らない。自分の生み出した曲の良さを最大限引き出せるのがその本人であるとは限らない。
LOVE PHANTOMはB’z以外の誰にもその魅力を最大限に引き出すことができない曲である。だから私にとってナンバーワンであり続ける。
同様の魅力を持つ名曲として、Guns n’ RosesのSweet child of mineやLed zeppelinの天国への階段、などがあげられる。要するにAppetiteとLed zeppelin IVなのだが、これらも、アクセルとスラッシュ、プラントとペイジでしか到達できない領域にある曲である。
「LOVE PHANTOM」考察まとめ
ある作家は言った。
「アイディアは“フロー”の中で生まれるものであって、“ストック”からは生まれない。だから今取り組んでいる作品に全部注ぎ込み、もったいないなどと言ってため込まない」
惜しみなく注ぎ続けることで、より良いアイディアというものがあふれてくるらしい。上にあげた名曲たちも、そうしたフローの中で生まれたものなのだろう。彼らが当時できるすべてのことを、惜しみなく注ぎ込んだ結果、音楽史に残る偉大な遺産が生まれたのだと思う。
新型コロナウイルスの影響で、普段は外出していた週末も家にいることが多くなった。合わせて多くのアーティストがこれまでのライブ動画をYOU TUBEで無料公開をはじめた。B’zもそのアーティストの一つだ。
今日は妻が仕事だったので、娘と二人でずっとB’zのライブを見ていた。そんな中で、昔友人に語った「LOVE PHANTOM論」を思い出したので、ここに記しておくことにした。
おわり。
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